高齢者がポジティブなのは基本的にはいいのですが、心身の衰えを心配する周囲に対して【まだ自分は大丈夫】【年寄り扱いしないでくれ】と感じるなど、ギャップが生じる場面もあるでしょう。この現象は、【主観年齢】という観点から考えられます。
主観年齢とは、実際の年齢とは別に、【自分のことを何歳ぐらいに感じるか】という感覚尾ことで、高齢者の心理に密接な関係があるとして注目されているテーマです。
佐藤教授らの研究チームが8~94歳の約1800人を対象に行った調査によると、未成年は実際の年齢より主観年齢が高く、それに対し、高齢者は実年齢より主観年齢が低く(=若く感じている)という結果になったということです。
おおむね20代前半ごろを境に実年齢と主観年齢が逆転し、その後は年齢が上がるほど差が大きくなります。40代で4~5歳、60~70代で6~7歳ほどの開きがあったとのことです。 なお、70代ごろまでは実年齢より自ブウを若いと感じる傾向が続くのに対し80代以上では、体調などにより感じ方が揺れ動くことがあり、精神的によくないときは「自分は若くない」などと答えるケースも見られたといいます。
【これは老いに対し手に対応が弱くなっているかもしれません】と佐藤教授は言います。
また、アメリカで行われた同様の調査では、実年齢との開きは日本より大きく、70代の女性は平均して28歳も若いと答えたようです。
|主観年齢は心身の健康に影響する
人は主観年齢の沿って行動するため、主観年齢は服装や髪形、言葉遣い、興味関心の対象まで影響します。これが自治年齢よりも若々しいふるまいにつながり、心身の健康にプラスになることも少なくありません。ただ、周囲からは実際の年齢でみられていますから、そこにギャップが生じる場合もあるのです。
また、佐藤教授は「主観年齢は実年齢よりも健康状態や寿命、幸福感などとの関連が大きいことも近年の研究によって明らかになってきました。
高齢者について考えるうえで主観年齢の重要性は増しています」と指摘します。
実際の高齢者では、主観年齢が低い人のほうが死亡リスクが小さいことや、記憶力などが優れていることを示す研究結果が発表されている。